中長期目線で5つの基盤への継続的な投資を行いながら、戦略の各ステージに応じて、その中でも特に優先的に強化すべき人的資本の領域を特定し、戦略実行力を高めるための施策を講じています。
前中期経営計画「SHIFT 2023」では、低採算事業からの撤退、ターンアラウンドを行い、より強みを発揮できる注力事業に経営資源を再配分する等下方耐性の強化と収益力のレベルアップに向けた構造改革を推進してきました。そのための基盤整備として、人事制度改革に取り組み、年功や職掌といった旧来のバリアを撤廃してきました。これにより、"Pay for job, pay for performance"の考えに基づき、属性にとらわれず、一人ひとりの個性、強み、価値観に向き合った適所適材をグローバルベースで追求していく準備を整えました。成長ステージに大きく舵をきった現中計においては、前中計で築いた土台の上で、No.1事業群の実現に向けて、社員一人ひとりが自らの強みを磨くとともに、組織はその力を最大限に引き出し、多様な強みを掛け合わせていく「人と組織のエンパワーメント」に注力しています。また、グローバルSBU戦略の実行力を一段と高めるべく、人財マネジメントもグローバルベースでの推進とその高度化に取り組んでいます。前中計で日本においてバリアを撤廃した取り組みと成果を、今後はよりグローバル全体に広げていきます。例えば、世界各地のメンバーが一体となって同じ目標に向けて戦略を推進する上で、目標管理プロセスや評価制度が地域ごとに異なる点等が課題として挙げられます。こうしたバリアを取り除くべく、グローバルで統一化すべき制度・仕組みの段階的な整備を進めるとともに、社員一人ひとりの能力・スキル・経験等の可視化を進め、グローバルベースでのベストタレントの戦略的な配置を実現していきます。
当社では、エンゲージメントサーベイを国内外の地域組織を含むグローバルベースで毎年実施し、「人と組織のエンパワーメント」の効果をモニタリングしています。本中計の取り組みをエンゲージメントスコアにつながる項目別で見ると、「事業精神の理解」「個人の尊重」は以前から高水準を維持しています。これは、海外採用社員を含めた別子銅山研修や、日々の業務を通じた住友の事業精神・グループの経営理念の実践に加え、多様なライフ・キャリアの在り方を支援する制度拡充やインクルージョンに関する意識啓発を継続してきた成果であり、誰もが自分らしく力を発揮できる組織文化の強固な基盤を示すものです。加えて、各グループの自律経営のもとでの人事関連事項の権限の現場への委譲や、Microsoft 365 Copilotのグローバルベースでの活用を含む業務改革の推進により、「品質・顧客志向」「権限・裁量」「業務プロセス・組織体制」は前中計比で大きく改善しました。現場における迅速な意思決定と内向き業務の削減を促し、スピードの向上や付加価値創出に注力する意識への変容につながっています。
一方で、「リーダーシップ」「成長の機会」は改善しているものの、さらなる強化が必要な領域です。経営人財育成を通じた組織のリーダー育成に加え、社員一人ひとりが自ら考えて行動するセルフリーダーシップの醸成に取り組んでいます。今後は、これらの取り組みをより一層深化させ、グローバルベースで事業を構想・推進できる人財の育成を加速していきます。
| エンゲージメントサーベイ項目 | 前中計比 | |
|---|---|---|
| 事業精神の理解; 個人の尊重 | 高水準を維持 | 長年の取り組みにより、すでに成果として表れている当社の強み |
| 品質・顧客志向; 権限・裁量; 業務プロセス・組織体制 | +6; +5; +5 | 改善が見えてきているもの |
| リーダーシップ; 成長の機会 | +2; +2 | さらに向上させていきたいもの |