以上に難しい。その意味で、アンバトビーに関するあらゆる選択肢の検討・打ち手が2024~2025年度に確実に進捗していたことが、2025年度の成長投資を行う上で大きな意味を持っていたと考えています。投資において、私はPMIを重視しています。例えば、SCSKの完全子会社化は、計画通りの共創が進むかを見守るだけでなく、住友商事グループ全体でどのような新たなシナジーや成長機会を生み出せるのかというアップサイドにも大いに期待しており、取締役会でもしっかりモニタリングしていきます。また、Sumisho Air Leaseへの投資も、当社グループの強みを活かした戦略的な案件であり、米国の有力投資ファンドとの協業という新たな枠組みにも大きな意義があります。こちらもPMIを継続的に見守りながら、中長期的な企業価値向上につながっているかをしっかりモニタリングしていきます。
大槻 事業ポートフォリオ変革では、リスクとリターンに加え、その成果をどの時間軸で実現していくのかが重要です。SCSKについては2030年に営業利益を2倍にする計画を公表しましたが、この時間軸を踏まえたモニタリングをしていきます。また、投資実行の時間軸という観点では、Sumisho Air Leaseに続きSCSKへの大型投資により、短期的に財務健全性に悪影響が出る懸念があり、この点も徹底的に議論しました。投資のタイミングを分散するという選択肢もあり得ましたが、商社のビジネスモデルにおいては、成長機会を逃さず柔軟に意思決定することが重要です。結果として、Net D/E Ratio(純有利子負債資本倍率)は一時的に上昇しますが、財務健全性を軽視したわけではなく、持続的な企業価値向上を優先した判断です。一方で、SCSKとの共創による成長戦略そのものは執行が担う領域です。そのため私たちは、統合の進捗だけでなく、SCSKの成長機会の拡大や住友商事グループとのシナジー創出、さらにはグループ全体の競争力向上につながっているかという観点から、その成果をしっかりと見届けていきます。
朝倉 私は総合商社を、強力なバランスシートとPMI機能を持った巨大な投資会社だと思って見ています。資産入替で事業ポートフォリオ変革を進めるならば、保有している事業や事業会社については常に最大限のバリューアップを追求し続けること。そして同時に、自分たちがベストオーナーかどうかについても常に問い続けていくことが重要です。当社グループは主要な懸念案件の処理を終え、資本コストが低下したことにより、強みがある事業のリスクを適切に取りに行けるフェーズへと一段上がりました。次期中計に向けては、投資家からの信認を得ながら、より高い成長シナリオを描ける体制が整いつつあると評価しています。
大槻 当社グループは今回、デジタルやAI、システム分野に注力していく姿勢を明確にしましたが、会社が掲げる「No.1事業群」に関しては、総合商社の中でのNo.1だけではなく、例えば専業のSIerやAI企業等さまざまな事業領域で、強力な競合と伍していく気概を持つことが重要だと思います。当社グループは成長8分野を中心とした注力分野に経営資源を配分する等、メリハリのある戦略を進めています。一方で、金利や市場環境、技術革新等の外部環境は常に変化しており、「強み」そのものも変わり続けます。だからこそ社外取締役としては、「強みを核とした成長」という戦略の前提が、環境変化の中でも妥当であり続けているかを不断に問い直し、執行側との対話を重ねていきたいと考えています。投資家の皆様が現在最も注目しているのは、キャッシュ・アロケーションと資本配分の実効性だと思います。2件の大型投資に対する市場の評価は概ね前向きだったと受け止めていますが、本当に問われるのはその先です。継続的にキャッシュを創出し、資産入替を着実に進めながら、年間4,000~5,000億円規模の成長投資を持続できるか。その実行力こそが、これからの企業価値向上を左右しますし、当社グループはまさに真価が問われる局面にあります。社外取締役としても、大型投資を一過性の成果で終わらせることなく、中長期的な成長につながっているかを株主のエージェント(代理人)としての視点から厳しくモニタリングしていきます。
朝倉 投資の世界では過去にやったことは全てサンクコストです。どんなに苦しい状況でも、将来を見据えてバリューアップを続け適切なタイミングでベターなオーナーに譲渡する。どんな事業も必ず出口をつくることが、ポートフォリオ経営の一丁目一番地です。またExitを経験して、初めてさまざまな課題が顕在化します。それらをしっかり整理して次の新しい投資判断に活かしていくことで投資能力が確実に上がります。その意味で、アンバトビーニッケルプロジェクトの譲渡までやり切ったことは、当社にとって大きな知見と自信をもたらすと思います。
大槻 アンバトビーニッケルプロジェクトは節目ごとに振り返りを行い、さまざまな形で投資規律にシステマティックに織り込まれています。社外取締役としてお願いしたことは、もともと社内で共有されていた過去の失敗事例集を、社外取締役も理